
WBA(World Boxing Association)は、1921年にアメリカで設立された「NBA(全米ボクシング協会)」が前身で、1962年に現在の名称へと変更されました。
世界で最も古いボクシング統括団体であり、長い歴史を持っています。WBAの特徴は、「スーパー王者」と「レギュラー王者」という二重タイトル制を採用している点です。
これにより、同じ階級に複数のチャンピオンが存在することがあり、議論の的になることもあります。しかし、スーパー王者は統一王者や長期王者を特別に認定する制度であり、競技の活性化につながっているという見方もあります。
一方、WBC(World Boxing Council)は1963年に設立された団体で、メキシコを拠点としています。
WBCは、ボクシングの安全性向上にも積極的に取り組み、試合のラウンド数を15回戦から12回戦に短縮するルール変更を主導したことで知られています。
また、緑色のチャンピオンベルトは、ボクシングファンにとって非常に馴染みのある象徴的なデザインです

IBF(International Boxing Federation)は、1983年に設立された比較的新しい団体ですが、公平なランキング制度と厳格なルールを重視していることで知られています。
WBAやWBCに比べて政治的な影響を受けにくいとされ、タイトルマッチの管理が比較的透明であると評価されています。
また、IBFの特徴の一つは、指名挑戦者制度が厳格に運用されている点です。これは、ランク1位の選手が一定期間内に必ずタイトル挑戦権を得られる制度であり、王者が恣意的に対戦相手を選ぶことが難しくなっています。
一方、WBO(World Boxing Organization)は、1988年に設立された団体で、当初はWBAから独立する形で生まれました。
設立当初はWBAやWBCに比べて権威が低かったものの、徐々に世界的な影響力を拡大し、現在では主要4団体の一つとして広く認められるようになりました。
WBOのタイトルマッチは、近年のボクシング界において重要な役割を果たしており、多くの名選手がWBOのチャンピオンベルトを獲得しています。
ボクシングにはなぜこれほど多くの団体が存在するのでしょうか?その背景には、ボクシング界の歴史的な経緯や、興行ビジネスの事情が関係しています。
まず、ボクシングは各国で独立したプロモーションが行われるスポーツであり、一つの中央組織が全てを統括する仕組みがないため、複数の団体が並立する形になっています。
WBAが最初に設立され、その後にWBC、IBF、WBOといった団体が誕生しましたが、それぞれ独自のランキングやタイトル制度を運用することで、自らの影響力を確立しようとしてきました。
また、ボクシングのプロモーション会社や放送局の影響も大きく、団体ごとに異なるチャンピオンを認定することで、試合数を増やし、ビジネスとしての利益を確保するという側面もあります。
このため、同じ階級に複数のチャンピオンが存在することが一般的になり、「統一戦」が注目される要因となっています。